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2023/9/8 新着情報
【ドラフトへの軌跡2023】第4回 木村仁(九州共立大) 4年 投手

2023年4月29日 福岡六大学野球春季リーグ戦 PayPayドーム
日本経済大0-2九州共立大

 

木村仁(九州共立大) 4年 投手 181㎝88㎏ 右投右打

 


© 野球太郎

 社会人野球や東京六大学、東都大学の選手はプレーを見る機会は多いが、高校生や地方大学の選手はどうしても見る回数は少なくなり、当然ベストパフォーマンスではない試合の時もある。ただ時には運良くその選手にとって歴代最高レベルのプレーを見せてくれることもあり、今年の候補で言えばこの日の木村仁(九州共立大)がそれに当たるだろう。


 まずその予感は試合開始前からあった。1回表、先発のマウンドに上がった木村は投球練習からストレートは150キロを超え、152キロをマーク。この日の実戦での最速が150キロだったことを考えても、試合前から相当力が入っていたことは間違いない。力を入れることが力みに繋がり、制球を乱すというケースもよくあることだが、この日の木村はコントロールも安定しており、3回まで1人の走者も許さない文字通り完璧なピッチングを見せたのだ。4回ワンアウトから味方のエラーで出塁を許し、5回にはセンター前ヒットを浴びて残念ながら大記録達成はならなかったが、最終的に被安打わずかに3、18奪三振で完封勝利をマーク。ちなみに相手の日本経済大もここ数年スカウティングを強化しており、決して楽に勝てる相手ではなく、2対0というスコアもそれを物語っている。 


 フォームに関しては上半身の強さが目立ち、投げ終わった後に少し体が一塁側に流れ気味なのは気になるものの、それでもリリースの感覚が良いためストライクをとるのに苦労することがない。正直立ち上がりはこのペースで最後まで持つのかと言うほど飛ばしているように見えたが、8回には148キロ、9回にも147キロをマークし、ストレートの平均スピードも145キロを超えるなど最後まで球威が落ちることはなかった。変化球も130キロ台後半のカットボールとフォークボールは打者の手元で鋭く変化し、どちらも空振りを奪うことができる。緩急をつける120キロ前後のカーブは少し浮くボールも目立ったが、ストレートをストライクゾーンに投げ込んでカウントをとれるだけの威力があるため、それほど気にならなかった。


 ちなみにこの日は朝からの雨で、九州でアマチュア野球の試合をやっている会場はPayPayドームしかなく、最初は視察を予定していなかったスカウトも多くが姿を見せていた。その前で圧倒的な投球を見せられたというのも木村にとっては大きなプラスだったことは間違いない。この日のような投球をコンスタントに見せることができれば、プロでも早くから戦力になる可能性も高いだろう。


西尾 典文 Norifumi NISHIO


1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などを テーマに野球専門誌に寄稿を開始。2017年からはスカイAのドラフト会議で解説を務め、2021年には仮想ドラフト会議にも出演。
アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材する熱血スポーツライター。

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