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2022/10/7 新着情報
【ドラフトへの軌跡】第10回 松山晋也(八戸学院大) 4年 投手
2022年9月5日 北東北大学野球秋季リーグ戦
八戸学院大7-5富士大
 

松山晋也(八戸学院大) 4年 投手 187cm90kg 右投右打 八戸学院野辺地西



写真協力/八戸学院大硬式野球部
 

 この【ドラフトへの軌跡】も今回が最終回。誰を取り上げるか悩んだが、最後の最後に強烈なインパクトを残した大学生投手を紹介したい。それが八戸学院大の松山晋也だ。高校時代は全く無名で、甲子園や大学選手権などの出場経験もなく、今年の春までリーグ戦での登板も6試合、わずか9イニングにとどまっている。ただその少ない登板では凄いストレートを投げているとプロのスカウトの間でも評判になっていた投手だ。8月20日に行われた岩手大との開幕ゲームでも多くのスカウトが集結していたが、結局ブルペンでの投球のみで登板はなかった。縁がなかったかなとも思っていたが、富士大との第2戦が雨で月曜日に流れたことを知り、この日は朝から会場となった秋田のさきがけ八橋球場へ飛んだ。


 これまでの起用法を見る限り、登板があってもリリーフだと思っていたが、先発投手が不安定だったこともあり、この日は1回ツーアウトから登板。ブルペンで凄いボールを投げていても、マウンドに上がるとそうでもないというピッチャーも少なくないが、松山は投球練習から150キロ以上を連発し、そのストレートの勢いは本物だということを思い知らされた。そしてこの後のピッチングも良い意味で期待を裏切ることとなる。


 前置きが長くなったが、仕切り直して訪れたのがこの北信越大会の初戦だ。会場となった敦賀市総合運動公園野球場のスタンドには一般席とは別にスカウト席が設けられており、8球団20人以上のスカウトが訪れていたが、その前で内藤はさすがのバッティングを見せることになる。第1打席こそ緩い変化球にタイミングが合わず空振り三振に倒れたものの、第2打席では深く守っていたレフトの頭を軽々と超えるツーベースを放つと、四球を挟んだ第4打席ではレフト線へこの日2本目となるツーベースでマルチヒットを記録。8回の第5打席でも会心の当たりではなかったもののライト前に落とすタイムリーを放ち、3安打2打点と4番としての役割をしっかり果たして見せたのだ。


 立ち上がりから全力で飛ばしているように見えたため、投げても短いイニングかと思って見ていたのだが、2回、3回、4回と投げ続けても球威が全く落ちてこないのだ。ストレートの球速をすべて記録していたが、4回を終了した時点で平均を出してみたところちょうど150キロという数字が出た。そしてその後もマウンドに立ち続け、合計で8回1/3という超ロングリリーフで、チームの逆転勝利にも大きく貢献したのだ。さすがに8回と9回はスピードが落ち、145キロを下回るボールもあったが、最終的に投じた76球のストレートの平均は147.9キロをマーク。これはプロの先発投手でも上位の数字である。


 変化球はフォーク以外に確実にストライクをとれるボールがなく、また走者を背負った時のクイックも遅いなどまだまだ課題は多いものの、この日も与えた四球は1個とコントロールが決して悪いわけではない。何よりも大きな体を生かしたダイナミックなフォームで真上から投げ下ろすことができ、勢いも角度もあるストレートをこれだけ投げられるというのは得難い長所である。結局この秋のシーズンは7試合、27回を投げてイニングを大きく上回る40個の三振を奪い、防御率も1.00と見事な成績を残した。昨年も大勢(巨人)が4年秋に一気に評価を上げて外れながら1位指名を受けているだけに、松山も意外と高い順位で指名されることもあるのではないだろうか。

 最後の最後に急浮上してきた光る原石をプロ側がどのように評価するのか。ぜひ注目してもらいたい。
 


西尾 典文 Norifumi NISHIO


1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などを テーマに野球専門誌に寄稿を開始。2017年からはスカイAのドラフト会議で解説を務め、2021年には仮想ドラフト会議にも出演。
アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材する熱血スポーツライター。

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