セガサミー13-14×NTT東日本(延長11回タイブレーク)
樫村佳歩(セガサミー) 投手 166㎝71㎏ 右投右打 水城→立正大

© 西尾 典文
今年は社会人野球の強豪であるチームの休部、廃部が大きな話題となっている。その一つが創部21年目のセガサミーだ。都市対抗ではベスト4進出3回、日本選手権では準優勝1回を誇るが、今年5月に突如今シーズン限りでの廃部が発表された。そんなチームから最後のドラフト指名の期待がかかるのがルーキーの樫村佳歩だ。水城高校時代から茨城県内では評判の投手で、立正大でも1年春からリーグ戦に登板。4年時にはエースとなり、チームの一部昇格にも大きく貢献した。
今年は春先から出遅れていたが、この日は先発として登板。5回を投げて4失点でチームも延長の末に敗れたものの、投球内容は見どころが多かった。166㎝と投手としてはかなり小柄だが躍動感あふれるフォームから繰り出すストレートはコンスタントに150キロ前後をマーク。低い位置からリリースされてそのままホップするような球筋が持ち味で、打者も高めのボールに差し込まれるシーンが目立った。変化球で目立ったのがカットボールとスプリットだ。どちらも140キロ近いスピードがあり、ストレートと変わらない腕の振りで投げられ、手元で鋭く変化するため勝負球として使うことができる。また緩急をつけるチェンジアップも左打者には特に有効なボールだった。
チームは予選で敗れ都市対抗出場は逃したが、樫村はこの日の投球もあってJR東日本の補強選手に選出。本大会では初戦のHonda鈴鹿戦で3点をリードした4回途中から二番手でマウンドに上がると、3イニングを投げて被安打1、3奪三振で無失点の好投でリードを守り切り、全国大会初登板で見事勝利投手となった。ちなみにこの時のストレートの最速は152キロに達している。NPBのスカウト陣も多く視察に訪れており、大きなアピールとなったことは確かだろう。
ちなみに大学から社会人に進んだ選手がドラフト対象となるのは2年目だが、廃部、休部となったチームの選手は救済措置で1年目から指名が可能となり、樫村もその対象となる。大学卒2年目の選手と比べて1歳若いというのも追い風となるのではないだろうか。ドラフト会議当時に樫村の名前、そしてセガサミーというチーム名が呼ばれるのも十分期待できそうだ。

西尾 典文 Norifumi Nishio
1979年生まれ。愛知県出身。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材する熱血スポーツライター。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説を務め、「原石発掘!ドラフトハンター」や「プロ野球仮想ドラフト会議」にも出演。

