日南学園8-6日章学園
田中皐晴(日南学園) 外野手兼投手 183㎝87㎏ 右投左打

© 西尾 典文
今年の高校生は投手に比べて野手の候補となる選手が少ない印象を受けるが、その中で最終学年に評価を上げてきたのが日南学園の田中皐晴だ。地元宮崎県の出身で都城リトルシニア時代には九州選抜にも選出。高校でも入学直後から外野の一角に定着すると、2年秋からは投手としても主戦を務めている。ただ将来性に関しては完全に野手として目立つ選手であり、この試合はそれを象徴する展開となった。
3番、ピッチャーで先発出場したが、いきなり1回に5点を奪われて降板。ストレートの最速は139キロにとどまり、変化球とコントロールについても苦しい内容だった。一方で素晴らしかったのがバッティングだ。第1打席にライト前へのタイムリーを放つと、第2打席もライト前ヒット、第3打席は押し出し四球と3打席連続で出塁。構えは少し体からバットが遠いように見えるが、それでも体の近くからスムーズに振り出すことができており、ヘッドスピードと打球の速さは高校生で間違いなくトップレベルだ。さらに第4打席には外角の厳しいコースのボールに対してしっかり踏み込んでレフト方向へ鋭くはじき返すヒットを放ち、第5打席のライトフライも内角のボールを引っ張ってあわや長打という当たりだった。相手バッテリーも当然警戒している中で、どのコースに対しても強く振り切ってミートできるというのは技術の高さの証明と言えるだろう。
さらに評価を上げたのが続く甲子園での活躍だ。初戦の明徳義塾戦では第1打席であわやホームランというライトフェンス直撃のスリーベースを放つなど2安打3出塁。さらに2回戦の横浜戦でもツーベースを含む2安打3出塁の活躍で、2試合で6打数4安打2四球という結果を残したのだ。しかも4本のヒットは全て左投手から放ったものであり、左右に関係なく自分のスイングができるというところを見せたのは大きなプラスと言えるだろう。脚力はそこまで目立つものはないが、ピッチャーを兼任していることもあってライトから見せる返球の強さも魅力だ。
最終的にこの夏は宮崎大会と甲子園を含めて25打数14安打、打率.560という圧巻の成績を残した。ホームランこそ出なかったものの長打力も申し分なく、打者としてのスケールの大きさも申し分ない。将来の中軸候補が欲しい球団も多いだけに、ドラフト会議当日に名前を呼ばれる可能性も高いだろう。

西尾 典文 Norifumi Nishio
1979年生まれ。愛知県出身。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材する熱血スポーツライター。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説を務め、「原石発掘!ドラフトハンター」や「プロ野球仮想ドラフト会議」にも出演。

