独協埼玉0-8×昌平(8回コールド)
桜井ユウヤ(昌平) 3年 三塁手 181cm 91kg 右投右打
© 野球太郎
今年の高校生は石垣元気(健大高崎・投手)以外、上位候補が少ないと見られているが、その中で高い順位で指名される可能性がありそうなのが昌平の桜井ユウヤだ。入学直後からレギュラーとなると、1年夏の埼玉大会では早くもホームランを放って話題となった選手である。ただ下級生の頃は全体的に無駄な動きが多く、力任せなスイングでミスショットも多い印象だった。2年春の県大会、埼玉栄戦でも第1打席でいきなりレフトへのツーベースを放ったが、次の打席では力みが目立って三振を喫している。
そんな印象が大きく変わったのは3年春の地区予選だ。この日は第1打席でいきなり死球を受けるなど相手バッテリーのマークも厳しかったが、第2打席で低めのボールをしっかりとらえてレフト前に運ぶと、第3打席では凡打となったもののセカンドへ強烈な当たりを放ち、第4打席でもボールをしっかり見極めて四球を選んでいる。下級生の頃と変わったのはタイミングの取り方だ。以前はどうしても反動をつけようとする動きが大きかったが、体が大きくなって余裕が出たこともあってか、現在では大きく構えてわずかにバットを引くだけであり、長くボールを見られるようになった。またスイング自体も上半身の力だけでなく、下半身もしっかり使ってフルスイングできており、ヘッドスピードとインパクトの強さは高校生では間違いなくトップクラスだ。
今後のことを考えると課題となりそうなのがサードの守備だ。中学時代は投手としても活躍していただけあって肩の強さは申し分ないが、少しモーションが大きいのが気になる。また打球に対する反応や前に出てくる動きのスピードなどは高いレベルで勝負するためにはさらに鍛える必要があるだろう。
ただそれでもこれだけの体格とパワーがある右打ちの内野手は貴重であることは間違いない。将来の中軸候補が欲しい球団にとっては狙い目の選手であり、高い順位で名前が呼ばれる可能性もありそうだ。

西尾 典文 Norifumi NISHIO
1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。2017年からはスカイAのドラフト会議で解説を務め、最近では仮想ドラフトにも出演。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材する熱血スポーツライター。