2024年6月10日 全日本大学野球選手権 東京ドーム
九州産業大5-3福岡大
浦田 俊輔(九州産業大)
4年 遊撃手 170㎝70㎏ 右投左打 長崎海星
© 野球太郎
今年の野手では宗山塁(明治大・遊撃手)が最大の目玉と見られているが、大学生のショートでそれに次ぐ存在として名前が挙がるのが九州産業大の浦田俊輔だ。初めてプレーを見たのは2019年夏の甲子園。当時2年生ながら、守備の動きは目立つものがあった。その一方で打順は8番と下位で体は小さく、バッティングに関する印象は残っていない。大学では2年秋からレギュラーとなり、3年秋には4割を超える打率を残し、9試合で15盗塁という大活躍を見せて12月に行われた大学日本代表候補合宿にも選出。ただその時も打撃については全国トップレベルの選手たちの中では目立つものはなかった。
そんな浦田の印象が一変したのが今年6月の全日本大学野球選手権だ。初戦の福岡大戦の第1打席、追い込まれてから粘りを見せて9球目をセンター前に弾き返したが、スイングの力強さが明らかに昨年秋とは変わっていたのだ。ヒットにしたボールは筆者のスピードガンで148キロをマークした速いストレートで、しかも内角高めのボールだったが、全く力負けしていなかった。それ以上に強烈だったのがその前のスライダーをライト線にファウルにした打球で、追い込まれているにもかかわらず、しっかりヘッドが走る見事なスイングだったのだ。この浦田のバッティングを見た相手バッテリーは次の打席からさらに厳しい攻めを見せるが、第2打席、第3打席はいずれも低めの変化球をとらえてセンター前に運び3安打をマーク。さらに第1打席と第3打席に出塁した後はすかさず盗塁も決めてチャンスを広げており、1番バッターとしては理想的な働きだった。
そして高校時代からの持ち味である守備にも磨きがかかっている。九州産業大は毎年守備力の高いチームを作ってくるが、その中でも動きの良さは明らかに1人だけ異なっており、速く動きながらもプレーに丁寧さがあるというのが浦田の持ち味だ。1回の守りではいきなりショートゴロをさばき、決して難しいプレーではなかったが、その出足の鋭さと持ち替えの速さにスカウト陣からも称賛の声があがっていた。
秋のリーグ戦でも開幕週の2試合で8打数4安打5盗塁と持ち味を存分に発揮している。守備と走塁に加えて打撃もレベルアップしたことで、評価が一気に上がったことは間違いなく、ドラフト会議当日も早く名前が呼ばれる可能性も高そうだ。
西尾 典文 Norifumi NISHIO