トップページ > お知らせ > 【ドラフトへの軌跡2024】第4回 斎藤大翔(金沢) 3年 遊撃手

お知らせnews

2024/9/6 新着情報
【ドラフトへの軌跡2024】第4回 斎藤大翔(金沢) 3年 遊撃手

2024年4月30日 高校野球春季石川県大会 金沢市民球場
金沢9-1金沢桜丘

 

斎藤大翔(金沢) 3年 遊撃手 181㎝76㎏ 右投右打

 


© 野球太郎

 今年の高校生野手はU18侍ジャパンにも選出された石塚裕惺(花咲徳栄・遊撃手)などショートに注目選手が多いが、その中でも守備に関してはナンバーワンと見られているのが金沢の斎藤大翔だ。その評判を聞いたのは今年春の選抜高校野球の時である。石川県の高校野球関係者から「今年、石川でドラフト指名があるとすれば斎藤だと思います」という話を聞いたのだ。調べてみると昨年夏もレギュラーとしてプレーしており、4試合で3本のホームランを放っていることが分かった(1本はランニングホームラン)。ショートで打力もあるとなれば当然注目される。実力を確かめるべく、春の石川県大会に足を運んだ。


 良い選手というのは探そうとしなくても目に飛び込んでくると言われるが、斎藤はまさにそんな選手だった。シートノックでも一人だけその動きが違っていたのだ。181㎝と上背もあるが、プレーのスピード感が抜群で、長身を持て余したところが全くない。速く動きながらもバウンドを合わせることができ、捕球から送球の流れも実にスムーズなのだ。加えて目立ったのがスローイングの強さである。強肩というよりも肘と手首の強さが感じられ、短い距離の送球にも強さと正確さがあるのだ。実戦でも5回に4-6-3のダブルプレーを処理するシーンがあったが、その動きは“流れるような”という表現がピッタリ当てはまるプレーだった。他にも何気ないゴロやフライを処理する時もとにかく動きが良く、それでいながら堅実さもあり、プレーに華があるのは大きな魅力である。


 一方で課題に感じたのは打撃面だ。タイミングをとる動きには無駄がなく、ゆったりとボールを呼び込むことはできていたが、スイング自体は少し上半身と手首の強さに頼ったもので、引っ掛けるような打球が多かったのだ。高いレベルではもう少し下半身を使って全身で振れるようになる必要があるだろう。ただそれでも第3打席ではレフトにツーベースを放っており、高校生レベルでは長打力も備えている。そして大きな武器になりそうなのがその脚力だ。ツーベースの二塁到達タイムは7.78秒をマークしており、右打者としてはかなり速い数字である。またその後の相手投手の暴投でも素早いスタートで三塁を陥れており、スタートの良さも素晴らしいものがあった。


 よく“一芸”のある選手は強いと言われるが、斎藤は守備と足と既に二つの武器を備えているのは大きな強みである。長くショートを任せられるような人材は貴重なだけに、高い順位で指名される可能性は高いだろう。


西尾 典文 Norifumi NISHIO


1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。2017年からはスカイAのドラフト会議中継で解説を務め、2021年・2022年・2023年には仮想ドラフト会議にも出演。
アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材する熱血スポーツライター。

阪神タイガース主催公式戦 徹底放送!! スカイAは虎バン主義。猛虎戦士の勇姿をお届け!! 視聴方法へ