札幌平岡2-11小樽双葉(7回コールド)
近藤琉唯斗(小樽双葉) 投手 184㎝83㎏ 右投右打

© 西尾 典文
高校野球の場合、これまであまり実績のなかった学校から突如ドラフト候補となる選手が出現するケースも少なくない。今年そんな例に当てはまるのが小樽双葉のエースである近藤琉唯斗だ。下級生の頃からエースとなり、北海道の中では知る人ぞ知る存在だったが、それには大きな理由がある。北海道は各支部での予選を突破しないと春、秋の全道大会、夏の南北北海道大会に出場はできず、小樽双葉の所属している小樽支部はその枠が1校だけとなっており、今年の選抜にも出場した強豪の北照の一強状態が続いているのだ。今年春の全道大会は北照が選抜に出場したこともあって小樽地区から2校が出場できる大きなチャンスだったが、倶知安に1対3で惜敗して出場権を得ることができなかった。しかし今年の夏からは南北北海道大会の方式が変更。支部予選が廃止となったことで、ようやく南北海道大会に出場することとなった。
この日まず驚かされたのが視察したスカウトの数だ。朝、会場となるテーオーオーシャンスタジアム函館に到着すると、続々とスカウトが姿を見せ、最終的にその数は日米合わせて12球団、合計25人を数えた。この人数を見ただけでも近藤に対する注目度の高さが分かるだろう。そしてその前で近藤は期待通りのピッチングを見せる。
立ち上がりは少し変化球主体で力をセーブしながら投げているように見えたが、徐々にスピードが上がり、ストレートは球場表示で最速152キロ、筆者のスピードガンでも最速149キロをマーク。3回と5回に少し制球を乱して1点ずつを奪われたものの、最終的に5回を投げて被安打3、11奪三振という見事な投球でチームを勝利に導いた。少し上半身の力が強いフォームだが、全体的なバランスは決して悪くなく、スムーズに体重移動してリズムよく腕を振ることができている。特に指にかかった時のボールの勢いは抜群で、相手打者は完全に振り遅れての空振りも目立った。強豪校ではない評判の投手はストレート以外が課題のことも多いが、近藤は変化球も高レベルだ。110キロ台のカーブ、120キロ台のスライダー、130キロ台のカットボールと球速帯の異なる三種類の横変化のボールと、さらに120キロ台前半のチェンジアップと130キロ前後のフォークと縦変化のボールも操ることができる。コントロールはまだ少しアバウトなところはあったが、緩急を上手く使ってタイミングを外せるのも持ち味だ。フィールディングやクイックなど投げる以外のプレーも難なくこなしており、センスの良さが感じられた。
チームは準々決勝で駒大苫小牧に1対4で敗れたものの、近藤自身は相手打線をわずか4安打に抑え込んでおり、強豪を相手にもその投球が通用することをしっかり証明している。また南北海道大会ベスト8というのも小樽双葉としては最高成績である。8月25日には早々にプロ志望届を提出しており、ドラフト会議当日にも学校の新たな歴史を作る可能性も高そうだ。

西尾 典文 Norifumi Nishio
1979年生まれ。愛知県出身。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材する熱血スポーツライター。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説を務め、「原石発掘!ドラフトハンター」や「プロ野球仮想ドラフト会議」にも出演。

