早稲田大3-10明治大
岡田啓吾(明治大) 二塁手 176㎝79㎏ 右投左打 前橋育英

© 野球太郎
ドラフト候補となる選手は特に野手の場合、何か一つ強烈な武器がある選手が高く評価されることが多い。今年、そのようなケースにピッタリ当てはまるのが明治大の岡田啓吾だ。前橋育英では2年夏にショートとして甲子園に出場。明治大では層の厚いチームということでなかなか出場機会を得ることができなかったが、昨年秋のリーグ戦でようやくセカンドの定位置をつかむと打率.389という成績を残し、見事ベストナインにも輝いた。
岡田の評価が一気に上がることになったのが昨年12月に行われた大学日本代表候補合宿の強化合宿だ。この合宿では毎年光電センサーを使った50メートル走の計測が行われているが、岡田は全体でトップとなる5.69秒をマークしたのだ(ピストルの合図があってからスタートする陸上競技よりもタイムは出やすい)。このタイムは光電センサーで計測するようになってから最速の数字である。
そしてそんなスピードが実戦でも十二分に発揮されたのがこの試合だった。ワンアウト一・二塁のチャンスで迎えた4回の第3打席ではショートゴロに倒れたが、俊足を飛ばして併殺崩れとなり、この時の一塁到達タイムは3.78秒を計測。4.00秒を切れば俊足と言われるだけにこの数字がいかに突出しているかがよく分かるだろう。その後盗塁を決めて二塁に進み、後続のタイムリースリーベースで本塁へ生還している。
さらに圧巻だったのが6回の第4打席だ。ライト前へ放った打球を相手の右翼手が後逸する間に一気にダイヤモンドを駆け抜け、ランニングホームランとして見せたのだ。この時のベース一周のタイムは14.30秒をマーク。ランニングホームランは滅多に出ないためあまり比較する対象がないが、ベース一周は15秒を切ればかなりの俊足と言われている。また改めて映像を見直してみると、ライト前への打球だったことから岡田は一塁の手前で足を緩め、そこから再び加速しており、最初から全力で走り続けていれば14.00秒を切った可能性もあったのではないだろうか。ちなみにMLBではスタットキャストで打者走者の各塁への到達タイムも計測されているが、2015年に導入されてからランニングホームランで14.00秒を切ったのは2017年のバイロン・バクストン(ツインズ)の13.85秒のみである。いかに岡田のタイムが高レベルかがよく分かるだろう。
春のリーグ戦でも打率.333を残し、5月24日の法政大戦ではさく越えのホームランも放つなど打撃面でも順調な成長を見せている。新たなスピードスター候補として、獲得を検討する球団も多くなりそうだ。

西尾 典文 Norifumi Nishio
1979年生まれ。愛知県出身。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材する熱血スポーツライター。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説を務め、「原石発掘!ドラフトハンター」や「プロ野球仮想ドラフト会議」にも出演。

