青山学院大8-0中央大
渡部海(青山学院大) 捕手 180㎝92㎏ 右投右打 智弁和歌山

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今年のドラフト候補の中で最も勝ちを知っている選手と言えば青山学院大の渡部海になるだろう。智弁和歌山では2年夏に甲子園優勝を経験。青山学院大でも1年春から不動の正捕手となり、昨年秋までリーグ戦6連覇を達成している。高校と大学で日本一になった回数は合計5回。長い野球界の歴史でもアマチュアでここまで優勝を経験している選手はそうはいない。
そんな渡部の凄みがよく出たのがこの試合だった。2回にはツーアウト一塁、4回にはワンアウト一塁の場面から盗塁を阻止。どちらも一塁走者のスタートは決して悪くなかったように見えたが、余裕を持ってアウトにすることができていた。そのスローイングを支えているのが巧みなハンドリングとしっかり足を使えるフットワークだ。捕球してからリリースするまでのスピードは圧倒的だが、決して上半身の力だけに頼ることなく下半身を使って投げることができるためセカンドベース付近でボールの勢いが落ちない。送球全体の動きも年々洗練されてきている印象で、単なる強肩という言葉で片付けられない迫力を感じる。下級生の頃は少し雑な部分があったキャッチングに関してもしっかりミットを止めて捕球しており、投手に返球するリズムの良さも特長だ。大学日本代表でも3年から正捕手を務めているが、渡部とバッテリーを組んだ時に持ち味を発揮する投手が多いのもうよく分かる。
そしてもうひとつの大きな武器がバッティングだ。この日も第一打席で死球を受けるなど相手のマークもかなり厳しいように見えたが、7回の第4打席ではワンアウト二塁のチャンスからセンター前に弾き返してチャンスを拡大し、貴重な追加点に繋げている。さらに9回の第5打席でも初球をとらえてレフトオーバーのツーベースを放ち、マルチヒットを記録した。全身を使ったフルスイングで豪快に引っ張る打撃が持ち味で、ここ一番での勝負強さも光る。今年春のリーグ戦では打率はわずかに3割に届かなかったものの、12試合で14四死球を記録し、出塁率は.455という高い数字だった。これだけ高いレベルで打てる捕手は貴重である。
ちなみに長いドラフト会議の歴史の中で大学生捕手が1位指名で競合したことは一度もない(二度に分けて行われた1966年には二次ドラフトで立教大の槌田誠が巨人と南海から1位指名を受けているが、全選手が指名対象となったケースではない)。アマチュア野球の歴史に残る活躍を見せてきた渡部が、ドラフト会議の歴史にも名前を残す可能性も高いだろう。

西尾 典文 Norifumi Nishio
1979年生まれ。愛知県出身。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材する熱血スポーツライター。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説を務め、「原石発掘!ドラフトハンター」や「プロ野球仮想ドラフト会議」にも出演。

