2024年4月4日 U18侍ジャパン強化合宿
石塚 裕惺(花咲徳栄)
3年 遊撃手 181㎝82㎏ 右投右打
© 野球太郎
このコラムも残すところあと2回。高校生については今回が最後となり、誰を紹介しようか迷ったが、ポジション関係なく最もインパクトが強かった選手ということで花咲徳栄の石塚裕惺を選んだ。下級生の頃からレギュラーとして活躍しており、昨年秋の県大会で見た時も2024年の有力候補になるとは予感していたが、一気に評価を上げたのは今年4月に行われたU18侍ジャパンの強化合宿だ。まず驚かされたのが球場入りした時の体つきだ。上半身も下半身も昨年までと比べて明らかに大きくなっており、高校生の中に1人だけ大学生か社会人が混ざっているように見えたのだ。他の選手たちも全国から集められた精鋭であり、その中でも目立つというのは相当なものである。
そして際立っていたのは体格だけではない。初日に行われたフリーバッティングでその成長ぶりを見せつけたのだ。この合宿は国際大会に合わせて木製バットを使用して行っており、中には慣れないバットに苦しむ選手も多かったが、石塚はその影響を全く感じさせずに軽々と柵越えを連発して見せたのだ。その打球の勢いと飛距離は、昨年12月に行われた大学日本代表候補合宿での西川史礁(青山学院大)や渡部聖弥(大阪商業大)といった大学生のドラフト1位候補と比べても全く遜色ないものだった。4歳という年齢差を考えると、石塚のポテンシャルの高さが相当なものであることがよく分かる。
その後、春の関東大会は肋骨を怪我したことから欠場となったが、夏の埼玉大会でも初戦の第1打席でいきなりホームランを放つと、続く甲子園の初戦でも強烈なレフト前ヒットと見事な走塁を見せている。また8月28日に行われたU18侍ジャパンの壮行試合でもドラフト1位候補の篠木健太郎(法政大)のストレートを右中間に弾き返すツーベースを放って見せた。またショートの守備についても華麗さはないものの堅実で、肩の強さも十分に備えている。名実ともに高校ナンバーワン野手という評価は揺るぎないものとなっており、将来の中軸候補が欲しい球団がいきなり1位で指名する可能性も高いだろう。
西尾 典文 Norifumi NISHIO