2023年7月30日 四国アイランドリーグ公式戦 むつみスタジアム
徳島インディゴソックス4-3ソフトバンク三軍
椎葉剛(徳島) 22歳 投手 182㎝85㎏ 右投右打 島原中央→ミキハウス
© 野球太郎
現在最もNPBに続けて選手を輩出しているのは明治大の13年連続だが、それに続くのが徳島インディゴソックスの10年連続であり、これは独立リーグでは圧倒的な数字である。今年も有力選手が多く、この記録を伸ばす可能性は高い。そんな中で椎葉剛の評判が耳に入ってきたのは春先の4月のことだった。社会人野球のミキハウスを退部し、今年から入団した22歳の投手が150キロ台を連発しているというのだ。調べてみると、ミキハウス時代は公式戦の登板記録はほとんど残っていない。どんな投手か確かめるべく、7月29日の30日のソフトバンク三軍との連戦に狙いを定めて徳島に飛んだ。
29日の試合では登板がなく、ようやく椎葉がマウンドに上がったのは30日の試合の6回だった。先頭の吉田賢吾をセンターフライに打ちとると、続く井上朋也には外角高めのストレートで空振り三振を奪う。その後四球で走者を背負ったものの、落ち着いて後続を抑えてこの回を無失点で切り抜けると、7回は三者凡退に抑え、2イニングをノーヒット、2奪三振と中継ぎとしての役割をしっかり果たして見せた。ストレートの最速は筆者のスピードガンで最速153キロをマークし、アベレージでも150キロ以上を記録。テイクバックでしっかりきれいに肘が立ち、縦に腕が振れるためボールの軌道も安定している。少し全体的に高めに集まる傾向があったのは気になったが、球威は相当なものがあり、打者は完全に差し込まれるケースが多かった。カーブが少し抜けるものの、スライダーとフォークはいずれもスピード十分で手元で鋭く変化しており、変化球のレベルも高い。ソフトバンク三軍のメンバーを見ても支配下登録の選手が4人並んでおり、その打線を相手にもほとんど自分のバッティングをさせなかったというところに椎葉の実力がよく表れていると言えるだろう。
この後のシーズンでも順調に結果を残し、9月に行われた独立リーグのチャンピオンシップでは最速159キロをマークするまでになっている。今年で22歳と大学4年生と同じ年齢だが、豊作と言われている大学生のドラフト上位候補と比べてもストレートの勢いに関しては椎葉の方が上ではないだろうか。コントロールには課題が残るものの、リリーフであれば早くから一軍の戦力となる可能性もあるだけに、意外に高い順位で指名されることも十分期待できるだろう。
西尾 典文 Norifumi NISHIO