2023年5月14日 関甲新学生野球春季リーグ戦 白鴎大グラウンド
平成国際大1-16白鴎大
福島圭音(白鷗大) 4年 外野手 175㎝72㎏ 右投左打 聖望学園
© 野球太郎
大学生投手を中心に豊作と言われている今年のドラフトだが、有力候補が少ないポジションも存在している。それが外野手だ。昨年は浅野翔吾(高松商→巨人1位)、蛭間拓哉(早稲田大→西武1位)、森下翔太(中央大→阪神1位)など多くの外野手が高い順位でプロ入りしたが、今年は指名が確実視されている選手は不在で、外野手が補強ポイントの球団にとっては悩ましい状況と言えるだろう。ただその中で最終学年で大きく評価を上げていると思われるのが白鴎大の福島圭音だ。2年春から外野のレギュラーをつかみ、2年秋には早くもベストナインを受賞しているが、大きく成績を伸ばしたのが今年の春だ。4月16日の山梨学院大戦では4打数4安打をマークするなどヒットを量産。更に凄かったのが盗塁のペースで、この試合が始まる前の時点でリーグ記録に並ぶ17盗塁(7試合)を記録していたのだ。以前とはリーグ戦の方式が変わっているとはいえ、この数字は尋常ではない。
この試合も1回の第1打席こそピッチャーゴロに倒れたものの、3回の第2打席にセカンドへの内野安打で出塁すると、すかさず盗塁を決めて早々にリーグ記録を更新して見せた。そして福島の勢いはとどまるところを知らず、4回、8回にもそれぞれヒットで出塁していずれも盗塁を成功。リーグ記録を20まで伸ばして見せたのだ。相手バッテリーも当然警戒する中で、ここまで盗塁を決められるというのは単純な脚力だけでなく、スタートの思い切りの良さなど走塁における技術の高さの証明と言えるだろう。もちろん脚力自体も素晴らしいものがあり、4.00秒を切ればかなりの俊足と言われる一塁への到達タイムを見ても、第2打席の内野安打では3.98秒、第6打席のサードへのバントヒットでは3.78秒といずれも高水準の数字をマークしている(バントの場合は速くなりやすい)。
そして福島の魅力はスピードだけではない。センターから見せるスローイングの強さも十分で、打撃に関しても合わせるのではなくしっかり振り切ることができているのだ。実際、この後の優勝がかかった上武大戦では先制ホームランも放っている。ちなみに春のリーグ戦の成績を改めてまとめてみると、9試合で20安打、20盗塁、打率.526、出塁率.609というとんでもない数字となっている。続く全日本大学野球選手権では3試合で1安打と結果を残すことはできなかったが、秋のリーグ戦でも打率.361としっかり持ち直してきたのは見事である。外野手としての総合力は大学球界でも屈指の存在だけに、獲得を検討している球団もきっと多いはずだ。プロでもそのスピードでダイヤモンドを駆け抜ける姿を見せてくれることを期待したい。
西尾 典文 Norifumi NISHIO