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2023/8/24 新着情報
【ドラフトへの軌跡2023】第2回 細野晴希(東洋大) 4年 投手

2023年6月23日 東都大学野球一部・二部入替戦 神宮球場
駒沢大1-6東洋大

 

細野晴希(東洋大) 4年 投手 180㎝85㎏ 左投左打 東亜学園

 
© 野球太郎

 今年は大学生の投手が特に豊作と言われているが、その中でも最も早くから1位候補と評判になっているのが東洋大の細野晴希だ。2年春から早くも主戦となると、当時から150キロに迫るスピードを連発。チームはそのシーズンに二部降格となったものの、細野自身はスケールアップを続け、昨年春のリーグ戦と入替戦では155キロもマークしている。


 しかし早くから注目されている選手ほどマークは厳しくなり、欠点も多く指摘されるのが宿命である。細野も好投しながらチームはなかなか一部昇格を果たせず、四死球と球数の多さやリズムの悪さを指摘する声も多い。この春は結果を求めて少しスピードを落としたボールを増やすと、スケールダウンしたのではないかという意見もあった。


 そんな細野の大一番となったのがこの入替戦だ。この日も8個の四球を与え、球数は185球と懸念されたコントロールについては解消したとは言えない内容だったが、それでも駒沢大の強力打線を1点に抑え込み、チームを一部昇格に大きく前進させて見せたのだ(翌日も東洋大が勝利して一部昇格)。立ち上がりは完投を意識してか少し力を抑えたボールも目立ったが、7回にこの日最速となる153キロをマークするなど、力を入れた時は常に150キロを超えるスピードをマークできる出力の高さは間違いなくプロでも上位のレベルにある。走者を背負ってからも球威が落ちることがなく、むしろ勝負所でのボールは前に飛ばすことも難しいほどの勢いがあった。緩急をつける大きいカーブ、スピードと変化の大きさにバリエーションのあるスライダーも一級品だ。


与四球や球数が多くなるのも、投球を見ていると技術的な問題というよりも考え方の問題のように見える。最初から厳しいコースを狙ってボールが先行するケースが目立ち、この日も初球のストライク率はわずか35.7%となっている。これだけの球威があれば、コントロールはアバウトでも、しっかり腕を振って強いボールをストライクゾーンに投げ込んだ方が楽に打ちとれる可能性は高いのではいだろうか。入替戦などが厳しい東都大学で下級生の頃からエースとして投げ続けてきたことで、慎重になり過ぎているのが課題と言えるだろう。


 ただ逆に言えばボール自体は間違いなく、ピンチでも押し出し四球などを与えるわけではないことを考えると、考え方やキャッチャーのリード次第で現在の課題も解消されることは十分に考えられる。これだけのボールを投げられるサウスポーはそうそう出てくるものではないだけに、複数球団による1位指名の可能性も高いだろう。


西尾 典文 Norifumi NISHIO


1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などを テーマに野球専門誌に寄稿を開始。2017年からはスカイAのドラフト会議で解説を務め、2021年には仮想ドラフト会議にも出演。
アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材する熱血スポーツライター。

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