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2022/9/2 新着情報
【ドラフトへの軌跡】第5回 菊地吏玖(専修大) 4年 投手
2022年5月10日 東都大学野球二部春季リーグ戦 UDトラック上尾スタジアム
専修大2-1東洋大(延長10回タイブレーク)
 

菊地吏玖(専修大) 4年 投手 183cm93kg 右投右打 札幌大谷


菊地吏玖(専修大) 4年 投手 183cm93kg 右投右打 札幌大谷
© 野球太郎
 

 “戦国東都”と言われる東都大学野球。その所以は一部から二部までレベル差が小さく、全国大会で優勝したチームが次のシーズンに二部降格になることもある厳しさから来ているが、ドラフト候補も一部だけではなく二部にも多い。そしてそんな東都二部の今年の筆頭格が専修大のエースである菊地吏玖だ。この日の対戦相手となる東洋大には来年の目玉と見られている細野晴希(3年・東亜学園)がいることもあって、スタンドには10球団のスカウトが集結していたが、その前で菊地は見事なピッチングを見せる


 立ち上がりは少し請求重視だったものの、それも細野との投げ合いを意識しているように見え、緩急とコーナーワークを駆使して東洋大打線を抑え込む。ストレートも勝負どころではギアを上げ、手持ちのスピードガンでは最速147キロをマーク。スカウト陣のガンでは149キロもあったとのことだった。細野も最速150キロのストレートを武器に応戦。両チーム9回まできれいに0が並んだが、この時点での投手成績は菊地が被安打3、2四球、毎回の13奪三振、細野が被安打3、四死球0、13奪三振というものだった。両チームとも決して打線が弱いわけではなく、このレベルの投手戦は全国大会でもなかなか見られるものではない。それが二部リーグで行われているというところに改めて東都大学野球の恐ろしさを感じた


 試合は延長10回からタイブレーク(ノーアウト一・二塁でスタート)に突入。東洋大は疲れの見えた細野を9回で降板させると、専修大打線はリリーフ投手をとらえて2点を先制。菊地も10回裏に1点は失ったものの、最後はこの日15個目となる三振で試合を締め、自責点0で最後まで投げ切って見せた。試合の途中で席を立つことが多いスカウトも、この日は試合終了まで見届けていた球団も多く、それだけ菊地のピッチングが見事だったと言える


 最終的にリーグ戦で優勝することはできず、一部昇格は逃したものの、大学日本代表にも選ばれるなど、総合力は大学球界でもトップクラスである。この秋も多くのスカウトが東都二部に集結することは間違いないだろう


西尾 典文 Norifumi NISHIO


1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などを テーマに野球専門誌に寄稿を開始。2017年からはスカイAのドラフト会議で解説を務め、2021年には仮想ドラフト会議にも出演。
アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材する熱血スポーツライター。

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