苫小牧中央7-1鵡川
斉藤優汰(苫小牧中央) 3年 投手 189㎝88㎏ 右投左打
© 野球太郎
今年の高校生投手は北海道に逸材が多い。スカウト陣からもそんな声は多く聞かれていたが、中でもスケールの大きさでナンバーワンと言えるのが苫小牧中央のエース、斉藤優汰だ。春のうちに見ておきたい選手としては自分の中でも筆頭に位置付けており、室蘭支部の組み合わせが発表されたタイミングで苫小牧行きを決めた。
迎えた5月11日の鵡川戦。平日開催の支部予選ということもあって一般の観客は少なく、目立つはスカウトの姿ばかり。数えてみると9球団、13人が確認できた。先発のマウンドに上がった斉藤は立ち上がりコントロールに苦しみ、2回に四球で許した走者をタイムリーで還されて先制を許すが、その後がすごかった。3回には自己最速となる151キロをマークすると、4回から5回にかけては4者連続三振もマーク。終盤には再びギアを上げ、5者連続三振で試合を締めくくったのだ。結局この試合は被安打3、17奪三振で1失点完投。ただ変化球のコントロールはかなり不安定で、“未完の大器”という印象も強く残った。
更に驚かされたのが約2週間後に行われた全道大会の対北海戦だ。この試合も立ち上がりに苦しみ、初回にいきなり2点を先制されたものの、その後は見事に立て直し、被安打3、11奪三振完投でチームを勝利に導いたのだ。室蘭支部予選から大きく改善していたのがコントロールで、与えた四死球は0。特に変化球は鵡川戦とは別人かと思うほどしっかりとコーナー、低めに集められており、ストライクをとるのに苦しむシーンは全く見られなかった。ストレートも最速は148キロだったが、1回から9回までの最速を並べると147キロ、146キロ、148キロ、148キロ、146キロ、147キロ、146キロ、147キロ、147キロと安定して速いボールを投げられていたことがよく分かるだろう。大型だがクイックも決して遅くなく、3度あったバント処理もしっかりさばいており、投げる以外のプレーも決して悪くない。この日も多くのスカウト陣が姿を見せていたが、北海道でも指折りの強豪を相手にこれだけのピッチングをしたことで、斉藤の評価は不動のものとなったはずだ。
冒頭で北海道の中でスケールの大きさはナンバーワンと書いたが、全国で見てもこれだけ大型でコンスタントに140キロ台後半のスピードをマークし、変化球も安定している投手はほとんどいない。夏は南北海道大会の準決勝で敗れて甲子園出場はならなかったものの、将来性を重視する球団は1位指名を検討することも十分に考えられるだろう。
西尾 典文 Norifumi NISHIO