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2022/9/16 新着情報
【ドラフトへの軌跡】第7回 金村尚真(富士大) 4年
2022年8月20日 北東北大学野球秋季リーグ戦
富士大4-0青森中央学院大
 

金村尚真(富士大) 4年 投手 176cm80kg 右投右打 岡山学芸館



© 野球太郎
 

 大学野球を見ていて常々思うことの一つが4年間は長いということである。下級生の頃に華々しくデビューした選手が上級生になって輝きを失ってしまうケースも多く、逆に3年生までそれほど目立たなかった選手が最終学年で突然ブレイクすることもある。1年から4年まで安定した成績を残し続ける選手というのは非常に珍しいが、今年の候補でそれに当てはまるのが富士大のエースである金村尚真だろう。1年春から投手陣の一角に定着すると、2年秋には完全にエースへと成長(2年春は新型コロナウイルス感染拡大の影響でリーグ戦中止)。4年春までの通算成績21勝4敗というのは地方リーグを代表する投手ではそこまで珍しい成績ではないが、防御率0点台というのはなかなかいない数字である。


 この日は大学最後となる4年秋のシーズンの開幕戦だったが、そこでも金村は“いつものように”圧巻の投球を見せつける。1回から3回までパーフェクト、5奪三振と完璧な立ち上がりを見せると、4回に味方のエラーで初めての走者を許すものの、自らの牽制でアウトにし、6回まで打者18人で抑え込む。ノーヒット・ノーランへの期待が高まり始めた7回の先頭打者にヒットを許して大記録達成は逃したが、最終的に被安打2、12奪三振の無四球完封でリーグ戦通算22勝目を飾って見せたのだ。これだけ安定した投球ができる原因は高い制球力にある。この日も常にストライク先行で不利なカウントになることがなく、12個の三振を奪いながら球数はわずか101球だった。ストレートの最速は146キロと驚くような数字ではないが、平均は144.5キロと高い数字で安定しており、最後まで球威が落ちることはない。変化球は130キロ台のカットボールが真横に滑る必殺のボールで、それ以外にもカーブ、スライダー、フォーク、チェンジアップとあらゆる球種を見事に操ることができていた。


 この原稿を書いている時点で秋のリーグ戦全体でも4試合に登板し、33回を投げて無失点、41奪三振、4四死球と全く打たれる気配を見せていない。今年の大学球界でも最も“エースらしさ”を感じさせる投手である。投手陣を補強したい球団にとっては最も計算がしやすい選手の1人なだけに、1位指名の12人に名を連ねる可能性も十分に考えられるだろう。


西尾 典文 Norifumi NISHIO


1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などを テーマに野球専門誌に寄稿を開始。2017年からはスカイAのドラフト会議で解説を務め、2021年には仮想ドラフト会議にも出演。
アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材する熱血スポーツライター。

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